社会人留学の壁、高校の成績証明書が発行されない問題とその解決策

カナダで長期滞在しようと考えている人にとっての選択肢の一つがカレッジや大学へ進学すること。特に公立カレッジ・公立大学は、配偶者にも就労ビザが出たり、卒業後に就業した年数に応じて自由に働けるビザがもらえるなど特典盛沢山。

私も当初は、これを使わない手はない!と公立カレッジへの進学を目指していたのですが、そこに立ちはだかった大きな壁が日本で卒業した高校の成績証明書が発行できず入学資格自体が満たせないことでした。

結局、私の場合はパートナーが運よく成績証明書を手に入れることができたので、急遽彼女に学生になってもらい、私は配偶者ビザで滞在する形に落ち着きました。

、あちこちに問い合わせたり片っ端からカレッジを調べたりと本当に大変だったので、今回は打開に繋がるかもしれない方法をいくつか書いていきたいと思います。

法改正により成績証明の保管期間が5年に

平成6年に「学校教育法施行規則」が改正され、成績証明書の保管義務が20年から5年に短縮されました。卒業証明書は問題なく発行できるのに、成績証明書が発行できない状況に陥るのはこの改正によるものですね。

私も母校にダメもとで問い合わせましたが、成績に関する情報はもう何も残っていないから作ることはできないと言われました、、、。

何も残っていないことにがっかりというか5年ってあまりにも短くないか?と呆れるやらでしたが、どうしようもないので解決に向けて試行錯誤した結果が以下になります。

解決策もしくは解決に繋がるかもしれない方法5選

私立高校卒なら成績が残っている可能性も

私の通っていた高校は公立で、パートナーは私立。

私の母校に問い合わせた際に、成績証明は出ないとはっきり言われていたので、パートナーの高校も同じだと思い込んでいました。しかし、彼女は卒業から10年以上経過してるにも関わらず、成績証明書が発行されたんです!。私立バンザイ。

もし通っていた高校が私立であれば、学校側が独自に保管している可能性もあるので問い合わせてみましょう。

通知表を元に成績証明書の発行を試みる

もし実家などに3年間分の通知表が残っていたら、それを元に高校に成績証明書の作成ができないか頼んでみてください。

仮に作成を断られた場合も、まだ諦めてはいけません。公的な翻訳会社に頼んで英訳してもらい、直接行きたいカレッジと交渉する手もあります。留学生の受け入れ数が多いカレッジではこういう状況にも慣れているので考慮してくれる可能性があります。

以前、アルバータ州にあるカレッジの入学窓口担当者に私の状況を説明したところ、アジアからの留学生は成績証明など必要書類が揃わない人も多いと言われたので、実際よくある話なのでしょう。結局、そのカレッジは成績証明が出せないと入学するまでに足りない成績を補うコースを受講しないといけないらしく、その方に高校に賄賂渡して書いてもらいなさいとまで言われる始末でした(笑)

直接の交渉が不安な場合は留学エージェントやビザコンサルタント会社に間に入ってもらってもいいかもしれません。

成績証明書が無くても受け入れてくれるカレッジを探す

成績証明書が発行してもらえなくても、卒業してから20年以内であれば単位習得証明書を出してもらえます。

これは、高校在学中にどの科目を何単位取得したかなどが記載された書類で、カレッジによってはこの単位習得証明書の提出で入学を認めてくれるところがあります。

私が調べた中では、バンクーバーがあるBC州は公立カレッジであってもわりと高校の成績に関して問わないところも多く、柔軟な対応をしてくれる印象です。コンピュータ系や調理系など数学の成績が必要なコースでも、成績が出せない人はカレッジの数学テストを受けて合格すればOKというところも多かったです。

canadalife1.hatenablog.com

一方でBC州のお隣のアルバータ州では成績証明が出ない場合、入学要件に書かれている科目全部を再履修しないといけないなど、条件が厳しく八方ふさがりになることも、、、。

カナダは州によってシステムががらりと変わるので要注意です。私たちは途中でBC州からアルバータ州に移動することになったので、アルバータ州のカレッジの厳しい入学条件に泣かされました。パートナーの成績証明書が発行されて本当によかった。

大学卒業資格がある場合は、大卒者向けのコースも視野にいれる

カレッジには高校卒業資格を持った人向けのコースと大学卒業者が入れるコースが用意されています。

分野によっては大卒者向けのコースは数が少ないこともあるのですが、IT系やビジネス系のコースだと割と見かけます。

大卒以上のコースはポストグラデュエート・ディプロマと呼ばれていて、修士に値します。大学の学位とカレッジで学ぶ内容に関連性が無くても入学できるコースもあるようなので、あきらめずに入れそうな学校がないか調べたり問い合わせてみることをおすすめします。

通信制大学等で関連学位を取ってから大学院などを目指す

残念なことに上記4つの方法を全部試してもどうにもならないという場合もあります。

社会人留学を考えている人の中には、専門性を高めたりキャリアチェンジを図りたいという方も多いと思いますが、カナダでは想像以上に学位とキャリアの関連性が重要視されます。

日本で大学卒業したから大卒者向けのコースにと考えていても、カレッジによっては入学条件に「コースに関連する学位を持っていること」「関連職種で働いていた経験があること」と明記されていて入れなかったり。

そもそも大卒資格がない上に高校の成績証明証がどうしても出なくて詰んでしまったり。

これはもう、どう足掻いてもどうにもならない方への最終手段になってしまうのですが、時間的余裕があるのなら、通信制大学等で学位をとってしまうというやり方があります。そしてその後、カナダの大学院もしくは大卒者向けコースのあるカレッジに入学するという方法ですね。

すでに大学卒業資格がある方や専門学校卒業資格がある方は単位移行もできるので、卒業までの期間をだいぶ短くすることも可能です。

実は、私も今後のことを考えて、現在通信制大学で関連の学位取得に向けて学んでいます。うまくいけばそのまま関連の職種で就職できるかもしれないし、将来また学校に入りたいと思ったときに今度は入学資格を満たせるように。

最後に

社会人になって暫くたってから海外のカレッジに入る場合、高校の成績証明が出ないことで選択肢の幅が狭まってしまうことがあります。私自身、この問題にかなり翻弄されたので、これは日本のシステムの欠陥だよなとつくづく感じました。しかし、カナダの場合は少なからず受け入れてくれるカレッジもあるので、あきらめずに道を探してほしいなと思います。社会人組として一緒に頑張りましょう!